【書評】薬剤師のための 精神科の薬 処方の意図を読む 吉尾 隆

薬剤師のための 精神科の薬 処方の意図を読む

薬剤師のための 精神科の薬 処方の意図を読む

  • 作者:吉尾 隆
  • 発売日: 2020/07/25
  • メディア: 単行本

【期間】
 2021/3/12

【動機】
 精神科のないへき地総合病院で研修している時に、入院患者さんが内服している向精神薬についてコンサルトされることが多かったため、院内勉強会で向精神薬処方内容からその意図を読むような発表をしようとして買った。結局勉強会はやらなかったが…。

【内容】
 大うつ病性障害、双極性障害神経症統合失調症認知症の5カテゴリについて、各疾患の薬物療法の概要を述べた後、いくつかの処方例についてその意図を読むような構成。

【感想】
 初版のため誤字脱字が目立つのはご愛嬌。
 各疾患の薬物療法の概要はスマートにまとまっててわかりやすい。
 処方例で出現する薬の頻度に違和感がある。SSRIでいえば、パロキセチン(10回)、フルボキサミン(6回)に対して、セルトラリン(2回)、エスシタロプラム(1回)とかなり少ない。臨床実感での頻度とかなり解離がある印象(一初期研修医の見解)。ただ薬物相互作用の多さから、薬剤師が気付くべき点を取り上げるためなのかもしれない。
 とはいえやや違和感のある記載が一部あり。例えば、フルボキサミンとラメルテオンが処方されていたら禁忌なので疑義照会は当然必要ですが、「ゾルピデムなどへの変更を提案する」と言われると何か違う気がする。単純にスイッチできる2剤ではないし、経過にもよるのでやや踏み込みすぎな印象。